鉋(かんな)に魅せられた「木子精」(きのこころ)|近藤正治さん
下川でのリアルな暮らしぶりを町内の方にお話ししていただくコーナー。今月は下川町で27年、木工の工房兼お店を営む近藤正治さんです。
生まれは夕張ですが、当時は酪農に興味があり、仕事を探していたところ下川町に辿り着きました。
サンルの牧草開発の仕事に就きましたが、続けるのが難しくなり、何かできないかと考え木工を学ぼうと思って。
1998年に砂川市にある障がい者向けの就労支援として「北海道障害者能力開発校・家具工芸科」に入校して、家具作りの道具の使い方の勉強を始めました。
鉋にハマったのは、その時ですね。子どもの頃「お前は大工にはなれない」と言われたことがあって、自分に木工なんて無理だと思っていたんですが、使い方を学ぶと仕組みやコツがわかって、どんどん楽しくなっていったんです。
それに、例えば外装材を削り直すと元々の木の質感に戻ります。鉋で削ると、木が蘇るんです。そんなところに惹かれました。
在学中に千葉県で開催された、アビリンピックという全国障害者技能競技大会があり、出場したところ銀賞を受賞しました。
だんだんと鉋を使った物作りがしたいと考えるようになり、1999年には学校を卒業してから下川で「木子精」をオープンしました。使う材料も、製品にならないような木材を近隣の木工所や製材所からもらってきて作っています。
加工できない木は、障がいがあるとも捉えられます。でも、鉋をかければ、木の本来持っている寿命の分だけ製品は長持ちするし、何回でも生まれ変われるんです。そういう良さを知ってもらいたいと思って、鉋かけの体験をしてもらうようになりました。
現在は主に箸作りを行っています。お店では子どもから大人まで誰でも箸作りの体験もできます。
箸作り体験は下川に取材に来ていたライターさんの意見をもらって始めました。だいたい1時間から1時間半くらいですが、こだわる人は2時間くらいかけてじっくり作ることもあります。
鉋を使えば紙やすりの削りかすが飛び散らなくて後片付けが楽なんです。中には鉋を使ったことがないお客さんもいますが、今まで怪我をした人はいません。鉋は安全な道具でもあるんです。
箸作りに来てくれたお客さんのほとんどは町外の方ですね。でも下川町認定こども園「こどものもり」に通う子どもたちが、小学校に入学する前に、自分たちのお箸作りを20人くらい毎年体験しています。
箸も、使い込んでいくうちに、自分の手に馴染む箸がだんだんわかってくると思いますから、時間が経ったら鉋かけをして長さが合わなくなるまで使って欲しいですね。
いま東京にある箸専門店の注文が来ていて、箸作りに没頭していることが多いので、町内外に関わらず、体験をしたい場合は事前に連絡をもらえると、助かります。
あと5年は頑張るつもりですが、もし箸作りや鉋を使ったものづくりに興味がある人がいれば、教えられることはあるかなと思っています。
もちろん箸作りに関わらず、何か新しいものづくりに興味がある人でも。
Interview:立花 実咲
下川町のヒト
下川で暮らす人の生活、仕事、楽しみ。それぞれの日々の物語。
タノシモ、しもかわ。
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